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2010年春夏のミラノ・メンズコレクションが先月下旬開かれた。白を基調に、またはモノトーン中心に、あるいは鮮やかな色使いで、約40ブランドが新作を発表。景気好転の兆しはなく、大きなトレンドも見えないが、厳しい環境は作り手を鍛える。ショーのためだけの服は少なくなり、創意の輪郭がはっきりした服が強く訴える力を持つ。(菅野俊秀写真・大原広和) グッチは夏の日差しに映えるシャープな服を見せた。ブラジルの建築家オスカー・ニーマイヤーの青空に突き刺さるような白い建築に影響を受けたコレクションは、冒頭5人のモデルが連続でネクタイを締めた白いスーツ。綿のジャカードやピケの、光を放ちそうな真っ白なたたずまいが、キリム柄などのシャツや大きなバッグでリアルな服に引き締まる。軽い異素材を組み合わせたパーカなどのスポーツラインは、凧(たこ)を思わせるデザインやパラシュートのストラップなど、空を飛ぶような軽快さ。デザイナー、フリーダ・ジャンニーニが表したい世界観が前シーズンよりもはっきりと浮かぶ。 同じ白でも、ジル・サンダーは透明感のある乳白色が印象に残った。デザイナーのラフ・シモンズが題材にしたのは藤田嗣治の絵画。モデルはみな藤田そっくりの髪形。ニットやシャツの人物の肌や髪の色が淡く浮かび、ジャケットやコートとの白いグラデーションを柔らかく溶かす。 一方、プラダは凝った柄や素材でモノトーンのグラデーションを見せた。モノクロ映画をイメージした服に多用されたのは様々なメッシュ素材。そこに一ひねりした杉あや織りや千鳥格子などをアイテム別にいくつも組み合わせる。それで過剰にならず洗練されて見えるのはさすがだ。 前シーズンに続きシチリアの伝統美をテーマにしたドルチェ&ガッバーナは、より強く重いダークな配色。深い織り柄や手の込んだ刺繍(ししゅう)をほどこしたショールカラーや大きなピークドラペルのジャケットには重厚感が漂う。 トム・ブラウンが手がけて2シーズン目のモンクレール・ガムブルーは古い屋内プールが会場。米国東海岸のサマースポーツのアイテムをアレンジし、トリコロール、グレーなどの色柄で表現した。 白い砂が敷かれたエトロのランウエーでは、不景気を吹き飛ばすような原色がはじけた。自然との共存や数学的な美を主題に色と色を掛け合わせていくスタイリング。 ボッテガ・ヴェネタは独自の陽気な色使い。スーツとカジュアルの中間を狙った服は、黒みを帯びた赤のグラジオラス、青みがかった紫のアネモネといった色を、例えば綿のストライプジャケットに絞り染めでにじませた。 今季はアレキサンダー・マックイーンがショーを中止して展示会にしたが、ショーの数自体はまとまって数を減らした前シーズン並み。さらなる減少には歯止めがかかった。 イタリアファッション評議会のマリオ・ボセッリ会長は「この経済状況の中でこの数字は悪くない」と評価した上で、ミラノ・メンズの今後について「今季は変化に富み、クラシックかつ優雅で、若く現代的なコレクションだった。卓越したイタリアの技術と生地が裏支えしていることが重要な意味を持つ。それは今後も変わらないだろう」と自信を見せた。
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